板キックが速い=スイム時のキックも速いとならない理由

2018/07/06
「クロールのバタ足、速くなる効果なし むしろ水の抵抗が増す…驚きの実験結果」
と朝日新聞がタイトルをつけた記事がかなり話題になりました。
これ自体は朝日新聞の完全なミスリードです。
キックが無いほうがクロールが速いなんていうことはありえません。
なぜならキック無しで足を浮かせておくことが不可能だからです。
それはさておき、今日はクロールのキックとスイムの関係性を解説してみます。
板キック速いのに、スイムではキック効いてないなぁって感じたことありませんか?
そんなあなたには大きくわけて2つのパターンが考えられます。
①推進力が大きく、抵抗も大きいキックを使っているから
②板キックに依存したキックをしており、スイム時の姿勢と全く違うことをしているから
今回は①の現象について説明します。
olympic03_swimming
まず、水泳の競技力ってどうやって決まっているかというと
推進力ー抵抗力=泳ぐ速さ
なんですね。
ということは同じ10という泳ぐ速さを持っていたとしても
泳ぎ方は無限にあって、20-10=10だし、15-5=10なわけです。
つまり同じ泳ぐ速度でも
①推進力が大きいけども抵抗も大きい泳ぎ
②推進力はあまり大きくないけど抵抗が小さい泳ぎ
という2パターンが存在するということです。
これがまず1つ大きなポイントです。
例えば僕は板キックを50m30秒で泳ぐ技術っていうのが2パターンあります。
すべて足を沈めて水を多く捉えて前述した①で泳ぐ
足を水面上にある程度出して②で泳ぐといった事が可能です。
ではこれをスイムで使うならどっちが良いでしょうか?
同じ30秒出るなら同じじゃんって思いますか?
これが全然違うんですね。
スイムで使うなら②が有利になります。
swimming_beat_ban
なぜかというと水泳は泳速度があがると抵抗が大きくなっていくのです。
今回話題になった論文の前段として同じメンバーが
「スイマーの抵抗は泳速の3乗に比例する」
ということを発表されています。
例えば50mを30秒で泳ぐ板キックのときは1.66m/sで泳いでいることになります。
そしてその選手が50m自由形を25秒で泳ぐとしましょう。そうなると2m/sとなります。
このときどのぐらい抵抗が増えるでしょうか。計算してみましょう。
 「スイマーの抵抗は泳速の3乗に比例する」になるため
2m/s^3÷1.66m/s^=1.75となります。
つまり、50mを25秒で泳いでいる人は50mを30秒で泳いでいる時の
1.75倍の抵抗を受けて進むことになります。
こうなってくると事情がずいぶんかわってきます。
Aくんは推進力20で抵抗10で30秒で板キック30秒
Bくんは推進力19で抵抗9で30秒で板キック30秒
という泳ぎをしていたします。
これが自由形で25秒で泳ぐときにはキックで発生する抵抗が
Aくんは10×1.75=17.5まで増大します。
Bくんは9×1.75=15.75となります。
そうすると板キックの時は抵抗の差が1だったのですが
スイムになると抵抗は1.75の差になってきます。
つまり
「AくんとBくんは板キックでは同じタイムなのにスイム時の速度増加に寄与するという意味では価値がまったく違う」
ということです。
なので更に言えば、
「板キックでは30秒で泳げるキックより、32秒のキックの方がスイム時には有効」
ということが起こり得るということなんですよね。
なので、板キック単独のタイムを求めていくことにはあまり意味がないのです。
この、閾値がどこにあるかはその人の体型や泳ぎ次第なので
一概に言えるものではありません。
これを踏まえてキックの打ち方を今日変えてみてはいかがでしょうか?

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