オリンピックとパラリンピックが進むべき道

2016/02/02

ドイツの義足アスリート、マルクスレーム選手がリオ五輪への出場を求めているそうです。

彼は走り幅跳びで義足を踏み切り足にして、昨年8m40cmという驚異的な記録を打ちたてました。この記録はロンドン五輪金メダルの8m31cmを大きく上回りますし、日本記録の8m25cmも軽く超えています。彼がリオ五輪に出場するとメダルをとる可能性が非常に高いですし、うまくいけば金メダルの可能性もあります。

そんな彼がパラリンピックではなく、オリンピックへの出場を求めているのです。

このことを皆さんどうお考えになるでしょうか?

もともとパラリンピックはリハビリの色が濃いものでした。それが2000年のシドニーでオリンピックの直後に開催することになってからここ15年ほどで劇的に競技性、競技レベルが高まっています。
パラリンピアンのオリンピック挑戦ということであればピストリウス選手が有名です。
2008年にオスカーピストリウス選手が健常者に匹敵するタイムを出し、オリンピックへの出場を目指しました。ですが、カーボン製の義足がルールに抵触するとしてIAAF(国際陸上連盟)がこれを却下。しかしCAS(スポーツ仲裁裁判所)が出場を認める判決を下します。だが、選考会にて参加標準を突破出来ず北京はパラリンピックに出場し100.200.400の3冠。そしてロンドンオリンピックでは400と4×400リレーの選手として選ばれます。このときは準決勝8位とリレーは8位となりました。

この時はどちらかというと「出してあげればいいじゃないか」という意見が多かったように思えます。なぜならば彼がメダルをとることはほぼ不可能だと皆が思っていたからです。
しかし今回はかなり事情が違います。レーム選手の競技レベルが高いため、金メダルの候補にあげられるのです。こうなると世間は手のひらを返し始めたのです。
「義足はズルい」
レーム選手の跳躍は、走速度と飛び出し速度などの関係から健常者とはかなり違うメカニズムで跳んでいることが判明しています。
彼もそれ自体は理解していると思います。ただ、彼は世界の他の義足ジャンパーを1m以上突き放すとんでもないパフォーマンスを見せるアスリートであることは間違いないと思います。私も「義足を履いているから跳べる」という単純なものではないことは理解しています。
それでも私は義足ジャンパーと健常者を同じ基準でメダルを争わせることには反対です。
なぜならば、もし義足のほうが有利だと考える健常者の選手が出てきた場合、自ら足を切断する選手が間違いなく現れるからです。
そんな馬鹿な?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、アスリートの勝利への欲求というのは異常なレベルなのです。私だって世界一になれるのなら寿命を30年差し出してもいいと思うぐらいなのです。
スポーツをスポーツとして、世の中の娯楽として位置づけるためにはそういうルールは必要だと思うのです。
ただし、オリンピックとパラリンピックは別開催する必要は無いと思います。いつか柔道などの階級制のように「健常者の部」「義足の部」「車いすの部」などといったわけかたで開催出来ればいいなと思います。
彼はオリンピックへの出場を求めていますが、参考記録扱いでも構わないと言っています。ただ素晴らしいパフォーマンスをたくさんの人に見てもらいたいのだと。
ちなみに2/20にはロンドンオリンピック金メダリストのラザフォード選手と同じ舞台で競うことが決まっています。まずはその結果を受けて世論がどちらに向くのかに大変興味があります。
ご興味が湧いた方は是非こちらのサイトをごらんください。
http://www.asahi.com/special/challenged/
  1. 名無し より:

    せめて踏切足が義足でないなら、五輪出るのもありかな…と思えるけど、義足の方で踏切ったら、それは違うと思う。

  2. kakizoe より:

    現状だと100mを片足義足の人が健常者の記録を超えたりしていないので、それでよいかと思いますが今後どうなるかわかりませんね。
    僕は別カテゴリで戦えばいいんじゃないかと。体重制みたいなものなのですから。

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