第1回 torch結成までと僕との出会い

2020/06/01

【torch 園木】対談記事公開スケジュール

6/1 第1回  torch結成までと僕との出会い  
6/2 第2回 「誰かのため」と「自分のため」
6/3 第3回 幸福の広げ方
6/4 第4回 エンターテイメントとは
6/5 第5回 ライブハウスという場所
6/6 第6回 「〇〇くなって逃げない」

torch結成までと僕との出会い

torchのボーカルの園木くんと、僕の弟が友達だったんです。でも、最初から興味があったわけではなく、前身のバンドの時も曲を聞いたことはあったのですが、正直に言ってほとんど印象に残ってなかったです。弟の結婚式にも来てたのですが、「友達にバンドやってる子がいるんだなぁ」くらいの印象でした。
2018年に熊本地震を受けて「みずあかり」という熊本の祭りをイメージした映像作品を作るためのクラウドファンディングをやってるよって話を弟のSNSを見て知りました。その時に「灯」という曲を聞いて、音楽自体も園木くんの声もとても好きになったので、クラウドファンディングで「楽曲制作プラン」なるものを購入しました。これが「購入した人と、一緒に楽曲を作ります」というものだったんですね。
それから2019年に入って、実際に園木くんと会って、どうやって楽曲を作っていくかの相談を始めました。メロディーや歌詞など具体的なものにあまり踏み込むつもりはなく、彼らが作りたいものを作って欲しいということを最初にお伝えしました。2回目の打ち合わせの時に、「今の僕から見た競技の世界観」というものを伝えさせてもらいました。
それらを振り返って二人で話をしました。全六回でお届けします。

対談の序盤では、torchの結成についてのストーリーと、そこから今回の楽曲「NEW DAWN」を作るに至るまでの道筋について。
そしてそれらにあたって園木君が辿ってきた、音楽に対する気持ちの変化について伺いました。

柿添
音楽はいつからやってるの?
園木
2012年くらいからやってます。でも最初って、このまま何もしないで就職していっていいんだろうか?というところで、衝動的にtorchの前身バンドを組んだ感じで。
結局色々とあって解散してしまって、それからは音楽から離れてちゃんと仕事をしようと思ってデザイナーになりました。
柿添
一度就職してるんだ。
園木
ですね。就職してしばらくして地元(熊本)で地震があって、他人のために自分ができることってなんだろうってすごく考えたんです。
当時はすごく塞ぎ込みがちで、自分のことでいっぱいいっぱいで。でも、そんな中で初めて、自分にできることを誰かのためにしたいなって…自分は歌で何かしたいなと腹の底から思ったんです。
柿添
そこからtorchというバンドを組んで。
園木
はい。僕には“有名になりたい“とか、いかにも前時代のミュージシャン的な夢はなくて。
柿添
なさそうだよね。
園木
なので、決意して何か作るって時に、人の共感を呼ぶものを作っていきたいと思ったのは必然だったと今は感じます。いわゆる成り上がり的な野心も当然あるんですけど、それ以上に広くエンターテインメントとして成立しているものを作っていきたいというのが、結成当初からずっとあったんです。
柿添
なるほど。
園木
そのなかで2019年はバンドも3年目に差し掛かって、これまでみたいに「誰かのためになにかをしていく」というところから脱却していかなきゃいけないなと感じていた年なんです。他人を言い訳にせず「自分のために音楽を続けていく」ことに向き合わなければいけないと思っていました。
柿添
他人じゃなくてね自分のためね。結局そうなるのよね。
園木
初めの決意から離れるのは、心にぽっかり穴が空いたような、どうしたらいいんだろうって感覚で。地元である熊本のことが心の底にあって、誰かのためになにかをしたいという行動原理になっていたので。
柿添
わからなくなったんだ。
園木
そのタイミングでこの楽曲制作プランの話が始まって、柿添さんからご自身の話を聞いて、すごくきっかけをもらったような感じがしました。そんな中で、torchの2019年のテーマと、柿添さんの競技観を重ねて書いたのが「NEW DAWN」という楽曲です。
僕の周りにはアスリートの知人は全然いないし、僕自身スポーツは苦手で劣等感みたいなものもあって、こういった形でしっかり話をさせていただくのは初めてだったんですよね。
柿添
苦手だったら接する機会も減るよね。
園木
今回の歌詞にも書いているんですけど、勝ち負けのある世界でやっている人の言葉は結構響きました。
去年はtorchにとっても最大の挑戦だった都内ワンマンライブを年末に開催したんですが、そこでどうしても「NEW DAWN」を披露したいと思って、かなり無茶やって。
楽曲が完成したのは一週間前だったんですけど、なんとかみんなで間に合わせて。笑 無事に披露することができました。
柿添
そうなんだ。笑
園木
この曲をセットリストに入れてどうしてもやりたかったんです。これをやらないと前に進めないような気がしていて、個人的にはすごく転機の曲になったと思ってます。

地元への強い想いで始めた活動に対し、それを脱却して「自分のために」音楽を続けなければいけないという、
園木君にとってもある意味転機となる楽曲がこの「NEW DAWN」だったということがよくわかりました。

次回に続きます。