第7回 マルチアスリートは日本のスポーツ文化を変えていけるか
2017/07/24対談記事公開スケジュール
7/18 第1回 ワールドゲームズ史上初2競技での代表選出
7/19 第2回 フィンスイミングと競泳の違い
7/20 第3回 技術の言語化
7/21 第4回 日本のスポーツ文化とマルチアスリート
7/22 第5回 指導のあり方
7/23 第6回 大学時代のプレッシャー
7/24 第7回 マルチアスリートは日本のスポーツ文化を変えていけるか
第6回は大学時代のプレッシャーと題した大学水泳業界の特殊な事情などに触れました。どうしても、毎年のインカレに最適化するために大きなチャレンジがしにくい環境がコーチにも選手にもあるのではないかと思います。
今回は最終回、マルチアスリートは日本のスポーツ文化を変えていけるかです。
ぼくは運動が苦手なんです。だから体育は好きじゃありませんでした。でも、百メートル走なんかの短距離走でも、みんなで走ってタイムを測って順位つけてってだけではなくて、今の走り方をこう変えれば百メートル走のタイムをあと三秒は縮められます、というような技術トレーニングがあったなら、運動がすごく好きになれたんじゃないかと思うんですよね。
そういうことが今日本の学校でできないのは、一つには一対一で指導をするだけのリソースがないという問題がありますけど、スポーツってそうやって自分を磨いて楽しむものなんだっていう認識がないというそもそもの問題もあると思うんですよね。
ぼくはライフセービングを始めたのは就職してからなんですけど、もともと高校時代から興味はあってやってみたいと思ってはいたんですよね。でも、大学では兼部が禁止されていたのでできなかったんです。大学を卒業して消防士になった時に、ライフセービング部の方に誘われて初めてずっとやってみたかった競技に取り組むことができたんです。ライフセービングを始めたときは日本代表になりたいなんてこれっぽっちも思っていなくて、ただやってみたかったから、楽しそうだから、というので始めたんです。その中で、仕事も練習もしなきゃいけない、でもパフォーマンスも上げたいってなると、いかに良い意味で楽をして速くなるかが大事になってきます。そこで楽をして速くなるためにはどうしたらいいんだろうってことを考え始めました。それが自然に結果にもつながりました。
全部本気で、でも、全部遊び
メジャー競技とその他の競技の本音
競泳の育成のシステムって結局ただのセレクションなんですよね。大体千万人ぐらい習い事として水泳をやっています、そこからコーチが運動能力と負けん気という面からめぼしい人を十万人ぐらい見つけてきて選手として競泳をやらせます、それで厳しい練習をやらせればやっぱり天才はいるので大したことを教えなくてもどんどん速くなっていきます、そういう人たちが残っていきます、そういうシステムになっていると思います。
でも、それって何も技術的なことを教えられなくても自分の感覚でなんとなくやっていて勝手にできてしまう人、つまり定義により「天才」の人たち、を拾い上げてるだけなんですよね。でも、一方で、正しい指導さえあればそれを会得できる人たちが別に一群としているはずなんです。その2つが争うようになればスポーツはもう少し面白くなるんじゃないかなと思う。今は完全に「天才」の世界だけで勝負が完結しているように見えます。
後日談
7月21日に行われたワールドゲームズのライフセービング4×50m障害リレーにて平野選手は世界新記録で金メダルを獲得という偉業を達成しました。
この種目は50mを壁から12.5mの地点に水深70cmの障害物が沈められており、これを2回くぐって50mを泳ぐ種目です。
彼は、日本のエースとして第1泳者をつとめており、昨年まで24.1というベストを持っていたのですが、23.67という大ベストでJAPANチームの世界新記録に貢献しました。
そしてフィンスイミング競技では50mビーフィンで世界6位、100mビーフィンで世界8位という結果を残してくれました。
いちアスリートとして、いち友人として彼がここまでやってくれるとは正直、思っていなかったです。(ごめん平野くん笑)
本当に素晴らしいですし尊敬しています。
これからも彼の活躍を楽しみにしています。
7/18 第1回 ワールドゲームズ史上初2競技での代表選出
7/19 第2回 フィンスイミングと競泳の違い
7/20 第3回 技術の言語化
7/21 第4回 日本のスポーツ文化とマルチアスリート
7/22 第5回 指導のあり方
7/23 第6回 大学時代のプレッシャー
7/24 第7回 マルチアスリートは日本のスポーツ文化を変えていけるか