第1回 ワールドゲームズ史上初2競技での代表選出

2017/07/18

対談_柿添・平野

対談記事公開スケジュール

7/18 第1回 ワールドゲームズ史上初2競技での代表選出
7/19 第2回 フィンスイミングと競泳の違い
7/20 第3回 技術の言語化
7/21 第4回 日本のスポーツ文化とマルチアスリート
7/22 第5回 指導のあり方
7/23 第6回 大学時代のプレッシャー
7/24 第7回 マルチアスリートは日本のスポーツ文化を変えていけるか


ワールドゲームズ、それはオリンピックにまだ採用されていない競技種目の世界最高レベルの選手を集めてIOC後援で4年に1度オリンピックの翌年に開催される「第二のオリンピック」とも言われる国際総合競技大会です。
今回は、今年7月にポーランドで開催される第10回ワールドゲームズにフィンスイミング、ライフセービングの2競技で代表に選出された平野修也さんにインタビューを行います。実は、同じ選手が2競技で同時に代表に選出されるのはワールドゲームズ史上初めてのことなのだそうです。複数の競技を同時に専門とする「マルチアスリート」平野さんに、マルチアスリートであるために必要なインテリジェンス、マルチアスリートというあり方の可能性について伺います。

平野修也 競泳マスターズ世界記録保持者,ライフセービング世界選手権LWC2016銀メダリスト,フィンスイミング世界選手権2016 50mBF ファイナリスト、元消防士

柿添武文 フィンスイミング日本代表、出版社勤務

聞き手 川口康平 一橋大学大学院経済学研究科講師


川口
今日はよろしくお願いします。それはライフセービングの日本代表のユニフォームですね。
平野
そうです。世界選手権が2年に1回ということでジャージは2年に1回更新されるんです。世界選手権に出たメンバーは既に今回のモデルを持っています。僕も去年の世界選手権に出場しているのでもう持っています。
川口
今回、7月にポーランドで開催されるワールドゲームズという大会に平野さんはライフセービングとフィンスイミングの2競技で出場されるんですよね。
平野
そうですね。
川口
ワールドゲームズというのはオリンピックにまだ入っていない競技に関して同じく四年に一回オリンピックの翌年に開催するということでいいんですよね.
平野
そうです。簡単に言うと夏季オリンピックの次の年にやるオリンピック競技以外の競技の総合大会です。

ワールドゲームズ出場はオリンピック出場より難しい!?

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川口
オリンピックであれば一国何人とかいった国ごとの枠があるわけですが、ワールドゲームズの場合は、各競技の協会がこの種目は何人とかっていうふうに出場選手を決めるという形になっているんですよね。
平野
そうです。フィンは全世界で100人と枠が決まっています。フィン競技全体で100人です。男女それぞれ50人ずつですね。次に、その中でどの種目で何人ずつにするか、という話になります。重複する選手もいれば、一種目だけという人もいます。フィンスイミングの場合、去年の世界選手権が選考会を兼ねていて、ぼくの種目である50mビーフィンの場合、その選考会で出場国、開催地国一名を除く7人が選ばれることになっていました。決勝に残って1人抜かないといけないという状況で、全く安心はできませんでした。結局ぼくは決勝で8位という結果だったので、選ばれるか分からない状況だったのですが、幸いにも選んでいただけました。
川口
ちなみに、選ぶというのはフィンの場合は誰が選ぶんですか?
柿添
フィンスイミングの連盟ですね。国際連盟、すなわち世界水中スポーツ連盟(CMAS)が選びます。
平野
ライフセービングも一緒で、国際連盟が選びます。ただ、ライフセービングのワールドゲームズ種目っていうのが、プール競技に限るんですね。
川口
プール競技だけですか。海でやるオーシャン競技はないんですか?
平野
ないですね。オーシャン競技は会場が限られてしまいますので。
川口
なるほど。どちらかというと海のほうが見栄えがすると思うのですが。
平野
ライフセービングというとどっちかっていうと海とかビーチとかそういうイメージなんですけど、ワールドゲームズに関して言えばプール競技だけなんです。
川口
なるほど。プール競技もそれぞれの種目ごとに世界で何人という形で決まっているんですか。
平野
フィンの場合は個人で選ばれるのですが、ライフセービングの場合は国単位で選ばれます。ワールドゲームズ種目の総合得点で国の順位が決まって、エントリーできるのが、出場できるのが世界選手権の上位10カ国だけなんです。今回は開催地のポーランドを除く上位9位までがワールドゲームズの出場権を獲得できるということになっていました。
川口
国の総合得点ということは、国ごとのトップ何人とかの総合得点ということですか?それとも国とは別に、あるいは国の中にチームみたいなものがあるのですか?
平野
それぞれの種目に出ている人が決勝に進出して1位になったら何点という形でポイントが振り分けられていて、それの合計点になります。実は、去年の世界選手権で競技が全て終わった段階では、日本は計算上ぎりぎり出場には点数が足りてないと思っていたんです。コーチの計算によると日本は最後の種目で2位に入る必要がありました。それなのに最後の種目は3位に終わってしまったんです。それでがっかりした気分で表彰式に出ました。そうしたら「ワールドゲームズに出場できる国は9位でジャパン」って言われて、「うそ今、名前言われなかった?」って。

2競技での代表決定まで

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川口
それは点数とは別の要素で決まったということなんですか?
平野
いえ、結局—
柿添
計算ミスってたってこと?
平野
コーチが計算をミスってたんです。
川口
そんな複雑な計算式なのですか?
平野
コーチもどこかで緊張していたんだと思います。僕達選手は表彰式に立てるのはうれしいけど、ああ、ワールドゲームズ行けねえわっていう、がっかりした感じだったんですけど、どんでん返しといいますか。
川口
逆じゃなくて良かったですね。
平野
良かったです。
川口
「3位でもワールドゲームズに出場できる」と言われていて、3位になって、実は2位に入る必要があったってなったときのほうががきついですよね。その瞬間にフィンスイミングとライフセービングの2競技でワールドゲームズ代表が決まったのでしょうか? フィンスイミングの代表選手が決まったのは、いつだったのですか?
平野
ライフセービングの世界選手権に行くちょっと前に言われたので去年の8月ぐらいですかね。※後日確認したところ10月に決まりました。
川口
ライフセービングの代表選手が決まったのはいつになりますか?
平野
去年9月の世界選手権で国としては権利を勝ち取りました。ただ、ライフセービングの場合は、ワールドゲームズを勝ち取ったメンバーがワールドゲームズの代表になるとは限らないんです。ワールドゲームズの代表は今年の5月に日本選手権の結果で選考されることになっていました。それでその選手権が終わって3日後ぐらいに協会の方から代表に選出されたという連絡がありました。
川口
ライフセービングの日本代表は何人いるのですか?
平野
男女で5名ずつですね。

ワールドゲームズ史上初!?

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川口
聞いたところだと、ワールドゲームズで2つの競技で代表として出るというのが歴史上初めての快挙だということなのですが、それはほんとうですか?
平野
日本としては間違いなく初めてのことですね。ワールドゲームズフォーラムっていうのが以前にあって、フィンスイミングの連盟の方に誘われて、呼んでいただいて参加したときに、ワールドゲームズ協会の方に「もしそれで2つの競技で代表になったら世界初なんじゃないか」と言われました。実際、夏季オリンピックに限って、2つの競技で代表になる人っていないじゃないですか。夏季と冬季でなったという人は、日本だと橋本聖子さんがいらっしゃるんですが、夏季の中で2つの競技で代表になるっていうのはなかなかないですよね。
川口
それは規則上できないことになっているのですか?
柿添
いえ、ルール上はできると思います。ただ、難易度が高過ぎるという話です。
平野
パラリンピックだとNGらしいです。
次回は「フィンスイミングと競泳の違い」について伺います。一見似ている2つの競技。 ですが、己の肉体のみで勝負する競泳と道具スポーツであるフィンスイミングの間には決定的な違いが…。 第2回をお楽しみに。