第4回 練習時間の半分以上を「泳ぎを直す」ために使う
2017/11/28【浜上洋平】対談記事公開スケジュール
11/25 第1回 筑波大学水泳部から帝京大学の助教に
11/26 第2回 水泳部コーチ就任後最初の改革
11/27 第3回 「泳ぎを直す」ためのアドバイスの四段階
11/28 第4回 練習時間の半分以上を「泳ぎを直す」ために使う
11/29 第5回 指導者の意識の改革
11/30 第6回 技術中心の指導へのシフトの成果
12/01 第7回 大学運動部のリクルートのあり方
12/02 第8回 自分の身体を自由にあやつる
練習時間の半分以上を「泳ぎを直す」ために使う
そこでトレーニングのやり方を変えたというのは具体的にどこをどう変えたのでしょうか? ここまでの話をまとめると、これまではあくまで生理学的なトレーニングをやらせていて、そこで見ていて気付いた点をコメントしていただけだったのに対して、今後は生理学的なトレーニングとは別に「泳ぎを直す」ためだけの泳ぎをさせる時間を作ったということでよいのでしょうか?
昨年の12月中旬あたりに生理学的にきついメインの練習をさせていたときに、これで本当に速くなるのだろうか、この子たちの可能性を最大限まで引き出せているのだろうか、ということでふと迷いが生じたのです。みんなでゼーゼーハーハーやっていて、本当に雰囲気は良かったのですが、本当にこれで上のレベルのスイマーに勝てるようになるのだろうか、と思ったのです。
そこで柿添さんと話していたことを思い出したのです。がむしゃらに汚い泳ぎでひたすら頑張っている彼らの、この泳ぎ方を変えることのほうが、生理学的なトレーニングよりも優先されるべきなのではないか、とそのときハッと思ったのです。その先のトレーニングプランも全部立ててあったのですが、その日の夜に文字通り全部廃棄しました。そして、とにかく「泳ぎを作る」時間を、1回の練習で最低1時間、2時間中1時間以上、そちらの時間に割くというのを3カ月やりました。「泳ぎを直す」練習だけで終わる日もありました。
方法を変えて生まれたメリット
最初、選手たちにトレーニングの改革をすると説明するときには本当に気を使いましたね。彼らも、長い子では20年弱とか、競泳の練習をしてきた子もいるわけです。その競泳人生の中で一度もこんな練習をやったことがないわけです。だから、なんでこういう練習をしなきゃいけないのか納得させるために、頑張って説明しました。